情報化施工(マシンコントロール・マシンガイダンス)
1.概要
情報化施工は、建設事業の調査、設計、施工、監督・検査、維持管理という建設生産プロセスのうち「施工」に注目して、ICT(情報通信技術)の活用により各プロセスから得られる電子情報を活用して高効率・高精度な施工を実現し、さらに施工で得られる電子情報を外のプロセスに活用することによって、建設生産プロセス全体における生産性の向上や品質の確保を図ることを目的としたシステムである。
2.特徴
- 観測者が現在位置と測設点の位置関係を把握しやすい
- 常に施工高と計画高との比較、切土・盛土法面の設計面との比較も表示可能
- 品質管理業務の簡素化・効率化(品質管理時間の短縮)
- 丁張軽減による測量コスト削減と作業員の安全確保
3.フローチャート
4.3次元設計データの作成
現況測量の地形データ、設計の平面線形・縦断線形・断面データを基に、3次元設計データを作成する。 作成した3次元設計データ(CSV形式)を油圧ショベル・ブルドーザに搭載しているパソコンに入力し、マシンガイダンス(MG)・マシンコントロール(MC)を行う。また、トータルステーションに取り込むことで、TS出来形も測定することができる。 この3次元設計データは、盛土・切土量や法面積を容易に計測することができ、完成予想図等の作成に用いることもできる。
5.事前調査・RTK-GNSSの設置・設定
GNSSは、観測方法によって精度や観測時間が異なる。一般的に、情報化施工ではリアルタイムに位置情報を取得でき、精度が数cm以下を確保できるRTK-GNSSという観測方法を使用する。この観測方法は、主に以下の特徴がある。
- 常に、5個以上の衛星を捕捉することが必要
- 座標がわかっている既知点上に固定局を設置し、衛星から得られる位置情報と既知の座標から観測誤差を算出し、無線で移動局に誤差を配信
そこで、以下の点に留意しながらGNSSを設定することが重要となる。
- 衛生の受信状態は、時間帯によって変化するため、1日かけて全施工範囲の衛星受信状態(5個以上の衛星が捕捉できるか)を確認する。
- 固定局は高く設置し、障害の少ない場所を選ぶ。
- 無線が混信しないか確認し、適切なチャンネルを選定する。
6.油圧ショベルのマシンガイダンス技術(MG)
GNSSアンテナ及び補正電波を受信するRADIOアンテナを設置し、位置情報及び設計データを入力した電子機器、表示器を搭載する。チルトセンサーにてバケットの位置情報を正確に感知することで、高精度のマシンガイダンス(MG)を行うことができる。 マシンガイダンスとは、GNSS及び固定局からの補正情報と重機に設置したセンサーを組み合わせて、バケットの刃先の位置の座標値を3次元で算出する。バケットの3次元位置と3次元での設計データをリアルタイムに参照して、車載コントロールボックスに設計データを表示し、モニタのガイド表示で施工するシステムである。
7.ブルドーザのマシンコントロール技術(MC)
重機位置測定装置により、作業現場上でのブレードの位置を測定し、事前に作成された3次元設計データに基づきその地点での設計勾配・高さ情報を算出する。 算出された情報に基づき油圧制御回路を介して敷均し作業(ブレードの上下、勾配動作)を自動制御するシステムである。